
震性能の基礎知識「層間変形」

家が傾く。それは不同沈下だけではありません。地震の揺れによって家が前後左右斜め方向に傾くことがあります。つまり変形です。これを層間変形と呼びます。もう少し詳しく説明すると、層間変形(そうかんへんけい)とは、地震や強風などの水平力を受けた建物で、上下の階が水平方向に相対的にずれることをいいます。地震による建物の倒壊メカニズムを知る上で、この層間変形が重要なキーワードです。

首都圏において震度2や3はもはや日常?
今回は地震に限定して話を進めます。地震力によって層間変形の大きさも変わります。家が変形するとしても軽微な変形と大きな変形では家の損傷も異なります。日頃、地震を経験している方なら、震度2,3くらいなら「またか」程度で受け流し、一瞬手が止まるくらいですよね。震度4になると「今のでかかったな」とテレビを点けて震度を確認するかと思います。それ以上はめったに体験しない震度です。ちなみに東日本大震災の際には、揺れが長かったこともあり、ドアを開けておいたり、外に出る方も多かったようです。
東日本大震災の際の東京23区の震度は5弱から5強でした。江東区や江戸川区では一部で液状化現象が発生し、外壁のひび割れ、天井材の脱落、屋根瓦の落下などが報告されています。これだけ大きな地震だと自分の家が倒壊しないまでも、問題がないか確認する気になるでしょう。でも気にならない震度でも家がダメージを受けていないとは言い切れません。
家が損傷を受ける条件
どのくらいの震度で家は倒壊するのか、また壁に亀裂が入るのか、という疑問は誰もがお持ちかと思います。しかし震度5だとこうなる、6だとこうなるとは一概に言えません。震度とは地震の揺れの強さを示す指標であって、建物に作用する力とは別だからです。確かに震度が大きければ家に作用する力も大きくなります。しかし建物の損傷や倒壊には、「揺れの大きさ(加速度)」「揺れの速さ(速度)」「揺れの周期」「揺れの連続時間」「揺れの方向」が関わります。揺れが大きくても揺れが増幅する周期でなければ家が倒壊する可能性は小さく、揺れが大きくなくても増幅する周期であれば倒壊の可能性は高くなります。
キラーパルス
この揺れの周期を「キラーパルス」と呼びます。周期1〜2秒程度の強い地震動です。家の固有周期とキラーパルスが一致すると揺れが増幅されます。よく例えられるのがブランコ。戻ってきたブランコが前に出ようとするタイミングで押すと、ブランコは大きく揺れます。ところが戻ってきたタイミングで押そうとするとブランコは止まります。これが揺れの増幅です。
家の固有周期についても解説します。固有周期(こゆうしゅうき)とは、建物が揺れたときに、その建物自身が持つ特有のリズムで1往復するのにかかる時間のことです。単位は「秒」で表します。例えば、建物を横方向に押してから離すと、建物は左右に揺れます。①右に傾く②左に傾く③再び右に戻る。この1往復にかかる時間が固有周期です。

これまでのお話を纏めると…
地震発生→キラーパルスと家の固有周期がシンクロ→層間変形が大きくなる→半壊・倒壊
というメカニズムです。この中で層間変形には角度があります。層間変形の角度なので層間変形角。この角度が耐震性と深い関わりがあります。それは次回で。
