
【後編】自分の街の地盤を知っておくこと、曳家という選択肢があると知っておくこと。

ここまで2回、ネパール・チベットの氷河崩落洪水のことと、恩田組が実際にやってきた曳家工事の現場の話を書いてきました。最後に、この記事を読んでくださっている方に、今できることをお伝えしたいと思います。
大きな災害のニュースを見ると、たいていの方は「自分の街は大丈夫だろうか」と一瞬考えて、それからまたいつもの生活に戻っていくのではないでしょうか。それ自体は、別におかしなことではないと思います。ただ、もし少しだけ時間が取れるなら、一度、自分の住んでいる場所のことを調べてみてください。
住んでいる自治体が出しているハザードマップを見てみる。洪水や土砂災害、地震の揺れやすさが色分けされている、あれです。あとは、その土地が昔なんだったのか。田んぼや沼だった場所を埋め立てて住宅地になっているケースは、地盤が弱いことも少なくありません。過去にその地域で水害や地盤沈下があったかどうかも、調べれば大体分かります。
こうした情報は、たいてい自治体のホームページで無料で見ることができます。今すぐ何かを変える必要はありません。ただ知っておくだけで、いざというときの判断がだいぶ変わってくると思います。
「壊して建て替える」だけが答えではありません
将来、もし地震や地盤沈下で自分の家が傾いたり沈んだりしたら、多くの方はまず「建て替えるしかないのか」と考えるはずです。
でも、前編でも書いたとおり、建物の形が残っている限り、曳家や沈下修正、揚家(建物をまっすぐ持ち上げる工法)という選択肢があります。氷河崩落のように建物ごと流されてしまうような災害には通用しませんが、地震の揺れや地盤沈下による傾き・沈下であれば、直せる可能性は十分にあります。
熊本地震で傾いた寺院、能登半島地震で被災した山門、新潟県中越地震で沈んだ家屋。恩田組はこれまで、そういう現場にいくつも関わってきました。
「壊すしかない」と思い込む前に、直せる可能性があることを、頭の片隅にでも置いていただければと思います。それだけで、いざというときの選択肢は変わってきます。
最後に
今回、ネパールとチベットで亡くなられた方々に、心から哀悼の意を捧げます。
今も行方の分からない方々が、一人でも多く、ご家族のもとへ帰れますように。

