盛土と切土

「盛土」とは、土地を高くしたり傾斜地を平らにしたりするために、もともとの地盤の上に土や砂などを積み重ねて造成すること。「切土」とは山や地盤を「削って」平らに造成することです。どちらも造成地にはよく見られる人工地形です。造成地と聞けば何十軒、何百軒も家が立ち並ぶ光景をイメージしますが、切土はさておき、盛土は住宅ごと個別に用いられることもあります。例えば、敷地内にある段差を解消するため、あるいは道路より敷地が低い場合に、雨水が流れ込むのを防ぐためなどが挙げられます。さて、土地を選ぶ際にはこの盛土と切土葉非常に重要なポイントです。

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雨降って地固まる…ことは無い。

盛土で特に重要なのが締固めです。土をただ積んだだけでは、時間が経つと沈下したり、地震や大雨で崩れたりする可能性があります。そのため通常は、土を薄い層ごとに敷き、転圧して締め固めながら高さを上げていきます。ちなみに「雨降って地固まる」という慣用句は「雨が降ると地面がぬかるむものの、その後乾くことで地面が締まって固くなる」というイメージから、トラブルを機に人間関係が円滑になるという意味ですが、盛土にこれは当て嵌まりません。締め固めていない盛土に雨が降るとぬかるんで一層の軟弱地盤になります。ですから盛土を施す場合にはしっかりと締め固めることが重要で、地耐力を測定して対策を講じることが絶対条件です。

敷地内の地耐力差

家を盛土と既存地盤とにまたがって建築する場合には、地耐力差に注意します。ほぼ同じレベルの地耐力が望ましく、固さに大きな隔たりがあると、家は柔らかい地盤の方向に傾きます。盛土がしっかりと締め固められ、地盤調査の数値が良好であったとしても、既存の地盤がより強固であったなら、バランスが崩れて不同沈下が引き起こされる可能性も否めません。実際に、敷地内の地盤の軟弱な部分のみに地盤改良工事を施した際、そこが強固になってしまい、問題のない地盤の方向に家が傾くという現象は珍しくありません。これを逆沈下と呼びます。敷地内の地盤の強度を均一にすることは非常に重要なポイントです。不同沈下の事例を見ると、この敷地内の地耐力差に起因していることが多く見受けられます。

盛土と擁壁

山を開拓した大規模造成地でよく見受けるのが石垣です。盛った土が崩れたり流れ出したりしないよう、その側面を石で支えるのが石垣です。つまり擁壁の役割を担っています。盛土には擁壁がつきものです。擁壁には水抜き穴が必要で、国土交通省もその基準を「擁壁の壁面3㎡以内ごとに1か所以上、内径75mm以上の水抜き穴を設ける」としています。この基準が守られていなかったり、水抜き穴が機能不全を起こしていると、しっかりと締め固められた盛土も、やがては軟弱化して膨張し、擁壁を崩壊させることがあります。石垣は積み重ねた石と石の間に多くの隙間ができます。

それだけ隙間があれば水抜きの機能不全などありえないでしょう。石垣を見るたびに先人の知恵に敬服するばかりです。

擁壁が社会問題に?

擁壁と言えば2025年9月に東京都杉並区で擁壁が倒壊する事故が発生しました。かねてより擁壁の老朽化が指摘されている場所でした。これを機に杉並区は「擁壁アドバイザー派遣事業」を新設しました。お役所にしては異例の早さです。このような擁壁事故に対する危機感は以前から持っていたのでしょう。皆様も盛土と擁壁にはくれぐれもご注意を。特に擁壁のある家にお住まいの方、相続された方、中古住宅をお探しの方は水抜き穴があるか、機能しているのかを、穴があくまで確認してください。

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