洪水が地盤をつくる

東京は本日も雨です。ときどき晴れの日があるものの9月から雨がずっと続いているような気がします。梅雨に降雨量の少ない年は10月ごろに降雨量が多くなって帳尻を合わせるという話を何処かで聞いた記憶があります。皆さんの地域では、今年の梅雨の降雨量はどうでしたか?

関東甲信越地方では例年より降雨量は多い年でした。調べてみると過去10年の平均降雨量は約105%、2026年は136%だそうです。雨の日も今年は6月と7月あわせて27日でした。過去10年のデータを見ると2019年で29日、2020年で34日、それに次いで今年は雨の日が多い梅雨でした。2019年は台風の影響で多摩川で氾濫危険水位に達し、世田谷区などで浸水被害が発生しました。しかし、2020年は2019年よりも雨の日が多いにもかかわらず被害は起こっていません。

これにより雨の日が多いと危険というより、少ない雨の日に大量に雨が降ると危険ということがわかります。

気象庁によると2026年は、集中的に雨が降る危険な年だったとされています。いきなり梅雨の話から入りましたが、今回のテーマは川の氾濫(洪水)です。

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沖積層

川が氾濫すると、上流から木や葉や泥などが運ばれてきます。これを氾濫堆積物と呼びます。古くから河の氾濫に悩まされて来た地域の地中は、氾濫堆積物が大量に埋まって地層が形成されていると考えられます。

ただし氾濫堆積物の大半は通常、砂・シルト(砂より細かい土)・粘土です。川沿いの地盤は、この川の氾濫にて形成されて来たとも考えられます。

昔から川が氾濫する低地では、洪水のたびに上流から砂・シルト・粘土・植物片などが運ばれてきます。それが何百年、何千年と積み重なってできた比較的新しい地層が、一般に沖積層と呼ばれるものです。

後背湿地

「川の氾濫を繰り返した土地」でも場所によって地盤はかなり異なります。川のすぐ近くでは洪水時に比較的重い砂が先に落ちて「自然堤防」をつくり、その奥には細かいシルト・粘土が堆積して「後背湿地」ができます。旧河道にはさらに軟らかい泥や有機質土が厚く堆積することがあります。

低湿地や旧河道などでは、水が溜まりやすいため、枯れた植物などの有機物が分解しきらず、泥と一緒に堆積することがあります。これが多く含まれると有機質土となり、特に有機物が非常に多いものは泥炭などと呼ばれます。こうした土は一般に、砂などに比べて水分が多く、軟らかく、圧縮されやすい性質があります。

水分を多く含む粘土質・シルト質などの軟弱地盤に建物を建てると、建物の重さによって土に圧力がかかり、土の隙間にある水が時間をかけて抜け、土の体積が小さくなり地盤面が下がるという現象が起こります。これを圧密沈下と呼びます。

地盤全体が同じ量だけ沈めば、建物もほぼ水平のまま下がりますが、問題は地下の土が均一ではないことです。たとえば、東側が砂質で比較的締まった地盤で、西側が昔の川筋で軟らかい粘土・有機質土だったとすると、建物は西側に大きく沈むことになります。前回お話した敷地内の地耐力差です。つまり「不同沈下が発生するということです。

ただし沖積層が危険ということではありません。沖積層には締まった砂層もありますし、有機質土がない場所もあります。住宅地盤で問題になるのは、特に旧河道・後背湿地・谷底低地などに軟弱な粘性土や有機質土が厚く存在するケースです。

これから土地を探される皆さん、先祖から受け継いだ土地に新築される皆さん、「旧河道」「後背湿地」は絶対に押えておくべき、安全な家づくりのキーワードです。

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