【前編】ネパール・チベットの氷河崩落洪水に想うこと。恩田組の技術で、できること・できないこと。

ニュースを見て、しばらく手が止まりました。

2026年8月26日、ネパールと中国・チベット自治区の国境付近で、氷河の一部が崩れ落ちました。標高5,200メートルあたりから氷と岩の塊が谷へなだれ込み、そのまま鉄砲水となって村や道路、橋を飲み込んでいったといいます。

この記事を書いている時点で、亡くなった方は1,000人を超え、行方の分からない方は約4,000人にのぼると報じられています。被災地には旅行者や巡礼者も多くいたようで、日本人の安否がまだ確認できていないというニュースも目にしました。

正直、何を書けばいいのか迷いました。恩田組は135年、曳家(ひきや)と沈下修正という、建物を壊さずに動かしたり直したりする仕事をしてきた会社です。熊本地震で傾いた寺院を支え、能登半島地震で被災した山門を修復し、新潟県中越地震で沈んだ家屋の基礎を直してきました。だから「何かできるのでは」と一瞬思ってしまいます。でも、それを今回すぐに言うのは、たぶん違うと思いました。

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正直に書きます。この規模の災害には、恩田組の技術は届きません

曳家という技術が力を発揮できるのは、建物の「形」がまだ残っているときだけです。

地震で柱が傾いた、基礎が割れた。地盤が沈んで家が斜めになった。区画整理で、今の場所に建物を置いておけなくなった。こういう状況なら、建て起こしや沈下修正、あるいは曳家そのもので、建物を元の状態に近づけることができます。

でも、建物ごと押し流されて、土台すら残っていないところからは、何も戻せません。曳家は「直す」技術であって、「消えてしまったものを取り戻す」技術ではないからです。

この事実は、ごまかさずに書いておきたいと思いました。そのうえで、恩田組に「できること」があるのも事実なので、それは次の記事でお伝えしようと思います。

区画整理で、家を10メートル高い場所へ動かした現場の話。施主の方が曳家を選んだ理由。そこには、今回のニュースを見て感じたことと、どこかでつながる部分があるような気がしています。

(中編に続く)

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