床上浸水のあと、床や土台はどうする?「揚家工事」という選択肢【前編】

台風や豪雨のあと、床上浸水の被害に遭われた方から、床や土台のことでご相談をいただくことがあります。

木造の建物は、一度水に浸かると床下や土台が腐食したり、シロアリなどの虫が発生しやすくなったりすることがあります。浸水の高さや時間、建物の状態によっては、耐久性への影響が心配になるケースも出てきます。

もちろん、床上浸水したからといって、すべての住宅で床や土台の入れ替えが必要になるわけではありません。表面の清掃・乾燥で済むケースも多くあります。

ただ、状態によっては「床や土台ごと入れ替えたい」というご相談も、近年増えています。

そうした場合に選択肢となるのが「揚家(あげや)工事」です。建物を持ち上げて、水に浸かった床や土台を丸ごと交換する、専門性の高い工事です。

明治24年創業の私たち恩田組でも、この揚家工事は長く手がけてきた仕事のひとつです。今回は、社内でこの工事に一番長く携わっている営業部長に、あらためて話を聞きました。在籍30年、業界39年。今も現役で見積もりを取りに現場へ足を運び続けています。


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揚家工事、実際の流れ

揚家工事の基本的な流れは、こうです。

  1. 1階の荷物をすべて運び出す
  2. 柱をつかんで建物を持ち上げる
  3. 水に浸かった床・土台を大工(外注)が交換する
  4. 建物を元の位置に戻す

「持ち上げる」と聞くと大掛かりに感じますが、実際に持ち上げる高さは1メートル前後が一般的です。

工期はおおよそ1〜2ヶ月。建設会社や工務店が現地の状態を見て「揚家工事が必要」と判断された案件について、依頼を受けて私たちが施工を担当することが多いです。

揚家工事が必要かどうかを判定するのは、あくまで依頼元の建築会社です。私たちの役割は、その判断を受けて実際に建物を持ち上げ、施工することにあります。


雨の中の工事、続けるか止めるかの判断

豪雨からの復旧工事だからこそ、施工中にも雨と向き合うことになります。

「雨が降っている最中でも、状況を見て工事を続けるか中止するかを判断します。作業中に水が溜まってしまった場合も、ポンプで水を抜きながら工事を続けることが多いですね」

マニュアル通りにはいかない、現場を踏んできた人間だからこその”さじ加減”です。


次回、中編では「39年で400〜500軒」という数字と、通常の3倍の高さまで持ち上げた特殊案件についてお伝えします。

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